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Fab city コンソーシアム 第4回 2014.09.25
9月25日に第4回Fab cityコンソーシアムが開催された。前半は、田中先生からアメリカの教育分野に関する3Dプリンタの活用法と、3Dプリンタの新しいデータフォーマットについて紹介された。後半は、企業内にあるFABスペースの活用について参加企業の方によるプレゼンが行われた。
教育分野での3Dプリンタ活用と新しいデータフォーマット<田中浩也>
3DプリンタはイノベーションやSTEM、デザイン思考など専門教育に使われていると思われがちだが、中学や高校では幅広い活用のされ方が見られた。地理の授業では地形図を出力し実際に触れられるようにしていたり、物理の授業ではギアの模型を作り抽象概念を理解するための手助けとなるような使い方をしていた。やっていることはデータをダウンロードして出力しているだけだが、実際に触れられる教材をつくるという新しい3Dプリンタの使われ方が行われていた。
一方で3Dデータを公開し、教材提供をする企業も出て来ている。ホワイトハウスも企業などが所蔵する3Dデータの公開を促進している。スミソニアン博物館が持つ動物のデータをダウンロードできるようにしているし、NIH(国立衛星研究所)はタンパク質などの分子構造の模型を教材として使えるようにしている。他にもGEが公開するジェットエンジンのデータやNASAの人工衛星のデータなど、多くの企業が教育用の3Dデータを公開している。従来の工作機械としての役割から触れられる「教材」で授業をより良くするための道具として3Dプリンタが活用され始めている。
3Dプリンタ用データフォーマットの統一も進んでいる。現在3Dプリンタで使われているフォーマットはSTLが使われ続けているが、3Dプリンタでは材料、色、解像度、時間などの毎回の設定に時間がかかる。また設定されたデータの再利や、データ作成者や日付など社会的情報も書き込められる様になる事が求められている。
そこでAMFというファイル形式がASTMとISOの連名で出された。今年の後半から来年に掛けてメーカーが対応して来ると思われる。AMFの特徴としてはXMLやHTMLのように人間が見て情報を理解することが出来るようになる。このファイル形式ではデータの中に作者、日付の情報を載せられるようになったり材料の情報や形の精度についての情報も含むことが出来る。また二種類の材料が使用できるようになることでグラデーション(配合率)による柔らかさを表現することが出来るようになる。
3DデータがネットにたまることでGoogleで情報を検索するようにデータの検索もすることが可能になり、3Dプリントがより手軽になることなどが期待される。インターネットと工業の世界が結びつき、より広い対象が3Dの文化につながるかもしれない。
企業内FABの活動報告
博報堂にはプロトタイピングラボという人材開発部門の社員教育スペースがあり、会社のど真ん中にあるカフェテリアに隣接した社員共有スペースのガラス張り会議室で活動している。機材はレーザーカッター、3Dプリンタ、ペーパーカッター、刺繍ミシンがある。昨年11月に完成し、インフォーマルな活動でありながら週一回解放している。
活動目的の一つは社内へのプロトタイピングをワークスタイルとして浸透させるためだった。プロトタイピングの真髄である「Low Fidelity, Early Failure」早く失敗してそこから学びを得るというスタイルを広めたかった。現在の日本企業では逆のことが行われ、時間をかけて制度の高いものを作ってプレゼンするという形式が一般的である。そこで、実際にプロトタイピングを経験してもらいワークスタイルとして広めることを目的として社内FABを創設した。
二つ目の目的は、ゆるいつながりを作るためのハブとして運用していくためだった。イノベーションは弱い関係性の方が生まれやすい。しかし、近代オフィスでは専門組織の横のつながりが起きにくい。そこで誰もが入れるようなスペースとして機能させるために、あえてガラス張りの会議室に設置されている。
活動内容としてはプログラムを作りProcessingなどのワークショップをしている。教える側と教わる側が交差するような状況を理想とし、他にもゲストセッションとして社外の人を招いて交流会も行われている。将来的には社内FAB発のプロジェクトをできるようにしたい。社内と社外を繋ぐインフォーマルでグレーゾーンな存在を企業の組織に作っていくことをポリシーに活動していく。
三菱総合研究所内にある社内FABの活動場所は会社内に常駐のスペースが確保できないため台車に機材を載せ、会議室を予約して使いたいとき出すという活動の仕方をしている。政府系の調査などを行っている会社なので研究成果が求められがちであるが、そんな中で研究員に自由度を与え、知的好奇心を高めるために企業内FABを作った。また、3Dプリンタが社会にどのように役立つかを検討することも目的の一つにしている。活動メンバーは多様な専門を持つメンバーが集まり、機材は3Dプリンタ、スキャナ、ペーパーカッターを用意した。
活動は7月から始まり、機材の使用だけでなく社外コミュニティーへの参加やFablab鎌倉での講習を受けたりした。メンバーの中にArduinoを使う人がいたので、その人に講習会をしてもらい情報共有をした。しかし、実際に使うと時間がかかるので会議室との兼ね合いで3Dプリンタの出力が終わらないという問題点がある。まだ使い初めなので何が出来るかをトライアルしている。
社会課題の解決のためにデザイン思考が必要と思われるので、デザイン思考をプロトタイプする場として活用できるようにしたい。