Fab City 横浜の可能性を描く
田中浩也
2013年10月17日
FAB9で生まれた社会関係資本をもとに「FabCity横浜の可能性を描く」セッションを開催したいと思います。横浜の創造活動をさらに高めたいと思われている企業、NPO、団体の皆さんの参加を期待します。先行するスペインバルセロナの基礎調査を進め、横浜市の現状やデジタルファブリケーション技術進展などの検討を加えて2020年横浜の未来図を描き、市への提案を試みます。
[2013年10月17日のトピック]
「FabCity横浜の可能性を描く」検討会のスタートアップにあたり本検討会の背景や動機の説明と全体の趣旨説明をオリエンテーションという形で行いました。「FabCity横浜の可能性を描く」検討会に興味を持たれている方は以下のアーカイブを一読いただけると本検討会の大きな目的が理解できるかと思います。また慶応義塾大学SFC研究所ソーシャルファブリケーションラボ代表の田中浩也のプレゼンテーション資料も同時に添付してありますので、そちらもあわせてご覧ください。
イントロダクション
横浜市の健全な発展と秩序ある整備をはかる上で、「FabCity横浜の可能性を描く」検討会に取り組んでおります。都市開発の構想を進めていくにあたって、複合的で難解な問題を数多くクリアしていくために、様々な視点を持った有識者やその道のエキスパートを組み合わせ議論していく必要があり、これは本検討会を開催している意義の一つでもあります。「FabCity横浜の可能性を描く」検討会では、多様なバックグラウンドをもった慶應義塾大学教員や生徒や外部関係者との組み合わせを実現しています。
本プロジェクトでは、2013年10月から2014年3月までの半年をリサーチフェイズ、後半の半年間を実装フェーズとして検討会を進めていきます。リサーチフェイズの主なスケジュールは以下を予定しています。
10/17(Thu) ヨコハマ創造都市センター オリエンテーション(田中、水野、加藤)
11/14(Thu) ヨコハマ創造都市センター 横浜市文化芸術創造都市の取組み紹介など(YCC他)
11/28(Thu) 北仲BRICK (Social Fabrication Center横浜)
12/12(Thu) 北仲BRICK (Social Fabrication Center横浜)
12/26(Thu) 横浜コミュニティデザインラボ
*時間はいずれも18:30-20:00
昨年の慶應義塾大学ソーシャルファブリケーションラボの活動として「キャラ弁プロジェクト」やそれをアーカイブした「the power of mom」、世界ファブラボ国際会議Fab9で行った「食とパーソナルファブリケーション」などのworkshopなどがあります。これらの活動はAXISに食とパーソナルファブリケーションとして掲載されました。
Fab9は一過性の盛り上がりとしては大成功しましたが、これまでのプロジェクトやFab9を経て2年目に差し掛かる今、何を目的にプロジェクトを進めていくのか?を考えた時にこのような成功を継続的に生み出し続けていく構造が必要であると考え、私たちはFabCity横浜を構想していくことになりました。
FAB9後の主な活動として田中浩也研究室では岡村製作所との共同研究としてオフィス家具の製作を行い、北仲Brickの活用を含めて強いパートナーシップを結んでおります。またFab LibraryやYCCやFablab kannaiとの連携関係も築いてきました。
FabCityバルセロナ
先行して循環型FabCity構想を掲げているバルセロナと横浜はスマートシティ協定を結んでおり、FAB9期間中ではバルセロナのFabLab関係者と我々でSmart Citizen研究会を開催し議論を行う中で交流をはかってきました。循環型FabCityというコンセプトを比較的先行して打ち出しているバルセロナという都市になぜデジタルファブリケーションの文化が浸透するのかを理解するためにバルセロナという都市開発の歴史を振り返ってみます。バルセロナ市のシンボルでもあるサグラダ・ファミリアの建築過程に象徴されるようにバルセロナでは建築を行う際に物理空間でシミュレーションを行い、建築に活かすという行程が建築プロセスとして浸透してきました。2014年にバルセロナで開催されるFab10ではバルセロナで推進されているFabCity構想をメインコンセプトに掲げ世界中のFabCityのロールモデルになっていくことを目的としているようです。
バルセロナFabLabのコンセプト『From a computer to a house』=『コンピュータのような小さい物から家のような大きなものまでファブリケーション可能なファブラボ』と解釈できます。このようなコンセプトメイクもその他のファブラボと比較して斬新であり、特徴的であります。
このファブラボのコンセプトの元に循環型ファブ都市とはどのように実現されるのかを見ていきます。先ほどのコンセプトにあったように家のような大きな建築物を造る場合でも素材の調達からバルセロナで行います。実際に2009年に自分たちで木をきる作業から始まり、全ての自分たちの手で家を設計した。太陽の動きを計算して太陽光パネルの設置方法を工夫しました。
computerとしてセンサーモジュール:日本で言うデジタル百葉箱みたいなもの。湿気やその他のセンサーを組み込んだモジュールを一般家庭に送り一つのネットワークにアグリゲートさせて可視化させます。
バルセロナの過去〜
地理的特徴として壁に囲まれています。ゆえにローカルな発展を行っていということです。限定された空間で、いろいろな発明や文化が生まれ育っていった、その後、貿易で成功を収めます。
都市の整理:グリッド(碁盤の目)に整理して,近代的な都市へと転身していきました。
・1950年:住宅と産業が都市の中に混ざって恊働していく。
・2013年:40%の失業率であり経済状態は良くない。
・2011年:バルセロナ市長がFab7(リマ)に参加。市長がFab7を通じてFabLabの構想を都市として進めていくことになった。
Concept”Self-Sufficient City”:Fabに適合するような電気自動・自転車や水道・ガスなどの新しいCityプロトコルを作りました。そのプロトコルを世界に輸出して経済効果を期待します。
Fab10までにFabLabを10個つくる予定です。ひとつずつ違う役割をもったFabLabをつくります。例えば病院や地域の図書館にFabLabをつくることでそれぞれの地理的条件や文脈を活かしたFabLabを作っていというものだったり、あるいはHEALTHを目標としたファブラボではギブスなどを作っていくというものです。都市の活性化を目的としたファブラボ作りは共通したコンセプトであります。
・PITO: product in trash out / DATO: data in data out
データは世界中での交換を行います。ものはローカルの地産地消で済ませます。
本プロジェクトに参加している学生へ:学生はFC研究会での講演を聴いてメモをとり、最終的に一つの冊子にまとめることを一つの目標としてください。前述のResearch期間中にどんどんと構想を固めていきながら後半の実装フェーズに進んでいくためにもこれまでの議論を言語化・明文化していく必要があります。
11月~12月は具体的になにを行うか?〜
ResearchによりContextを明確にしていく。またContentsを作り上げていく。
・加藤先生(社会・人文学):路上を歩くことで得られる気付きや可能性をネタに議論していくことをイメージしています。ゆえに横浜市の野毛など、路上を歩くことで1次情報を収集してくることを宿題としていく予定です。
・水野先生(デザイン学):メタデザインについて整理します。デザイナーそのものやデザインできる状況をデザインすることの重要性が高まってきています。メタデザインと呼ばれる新しい概念的枠組みをFCプロジェクトの中でどのように生み出していけるのかを考えていきます。
・FabEconomy
・NTTデータセンター:情報インフラを活用します。Dataは情報インフラを活用することで世界中を行き来可能であります。FabLabも一つのコミュニティーとして点で存在するのではなく、つながることで価値が生まれのです。FabLabやFCにおける新しいインフラをデザインすることで数多くのFabLabが生まれる環境を生み出していきます。
・横浜創造都市センター:関内外OPEN!5パンフレット参照してください。
・都市大学:教育ではなく学び、ほぐすという意味での学びを考えていきます。
・岡村製作所:これまで働く空間のデザインをしてきました。しかしこれからは、ものに依存している空間ではなく、コミュニティーが存在している場を設計していきます。『場から』
バルセロナFabLabの紹介〜
最も古いFabLab。
大学院が古い造船所の倉庫を借りて、現在のFabLabを構築。週末は一般に公開しています。
バルセロナFabLabのコンセプトは『From a computer to a house』。小さいものから大きなものまで創作している点が特徴です。
houseとして建築:自分たちで家を造ります。また地元にある素材のみで作ります。
2009年に自分たちで木をきる作業から始まり、全ての自分たちの手で家を設計しました。太陽の動きを計算して太陽光パネルの設置方法を工夫しました。
computerとしてセンサーモジュール:日本で言うデジタル百葉箱みたいなもの。湿気やその他のセンサーを組み込んだモジュールを一般家庭に送り一つのネットワークにアグリゲートさせて可視化させます。
FCプロジェクト(横浜)〜
メタボリズム(新陳代謝)からメタファビング(??)
・購入と所有で満たしていた欲望を創作と交流で満ちるものに置き換えていく
・創造的縮小:自産自消と地産地消を高めていく
・インフラやメタデザインや産業の形を考える。
Webインターネット
スタンドアローンの工作機械から、ネットワークの工作機械へ
自律・分散・オンデマンド・オンサイト型製造システム
・ネットワーク端末となった無数の3Dプリンタが連動して仕事を行う。
・必要な場所や量やニーズにあわせて(オンデマンド製造)
課題:インタネットにおけるネットワークのようなインフラが存在していないことです。
(引用)3Dプリンターの原料であるグープのサイクルがインフラの中核になるだろう。それはガスや水道のようなインフラになるかもしれない。
私たちも妄想に近いような未来図を描いていく必要がある。
[2013年10月17日 授業資料]