Sunny Side
制作者 設計者 : Shintaro Kiba
撮影 : Ryo Asakura
This chair has no unique concept, extraordinary shape nor fascinating color; however, I tried to make this chair so that I will like it forever, and not because of its uniqueness but rather by its comfortability and design.
By combining wood in nonvertical angle, I was able to make a three‐dimensional curved surface for back of my chair. Also, when the sunlight passes through this part of the chair, it projects a beautiful shape on the ground(this is why I named my chair "Sunny Side").
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Shintaro Kiba 作『
Sunny Side』は
クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 4.0 国際 ライセンスで提供されています。
(1)受動的消費者から能動的生活者への変化
>なぜそれを欲したのか、作ろうと思ったのか
とにかく「良い」椅子を作ろうと思い、外見・耐久性・すわり心地の全てを兼ね備えた椅子を作りたかった。自分がこれから使うものなので、色物ではなく使っていくうちに良い物と思えるような椅子を作りたかった。
>作ってみて新たに発見したことは何か
実際に18mmの合板で切り出したものは、レーザーカッターで切り出した4mmの模型よりもずっと接合部がハマりにくく、模型の接合部を指先で押しこむようには行かなかった。
直角な木のはめ込みは簡単だが、3次元的な傾きのはめ込みをRhino上で計算する際に非常に手間がかかることも分かった。
>次に作るなら何を作りたいと思ったか
今回製作した椅子を修正したものも作りたいが、新しいものを作るのであれば座ったままラートのように前後に回転する椅子や、体重をかけると変形する椅子(機構的に)が作りたい。
>次に作る際に気をつけようと思うことは何か
まず板厚に関わる数値はCAD上で立体を作る前に全て把握しておいて、一括操作出来るようにしておきたい。モックアップは予想以上に失敗が多い上、モックアップを作った後の大幅な変更も有り得るので模型用の板材も今度からたくさん用意したい。
(2)制作物のポートフォリオ
>デザインプロセス 制作物のコンセプトは
発案→イラストレータで図面の作成→モックアップの作成→改善点の発見→新しいコンセプトの発案、それに伴うデザインの変更→Rhinoceros上で3Dモデルの作成→モックアップの作成→各作業ファイルの修正→切り出し、組み立て
>制作物のコンセプトは
木材の組み方を工夫することによって背もたれに三次曲面を用いた、座りやすさを追求した椅子を目指した。
>何を成し遂げるために、とのような論理立てを持って実現しようとしたか
木材のはめ込みだけで三次曲面を表現したかったので、その構造の考案と、三次曲面の構造を椅子に取り入れた際にきちんと負荷に耐えられる構造にするため各パーツの組み方を考えた。
>その論理をどのように構造や意匠に昇華させたのか
椅子の負荷に関する基本的で感覚的なこと(ナイーブ物理程度のもの)を考えながら椅子の各パーツとその組み方の順番を頭で考え、CADを使い各組み合わせを確認しつつ図面の作成、そしてモックアップ作成による構造の整合性、耐久性と見栄えのチェックを行いつつ図面の修正をした。意匠(デザイン)に関しても、各パーツの曲面をRhino上で調整すれば3Dのプレビューに反映されるので、モックアップで確認して微調整するだけで済んだ。
>ユースイメージ
子供から大人まで、気軽にそして楽に座るための椅子。テーブルを使うことを想定していなく、テレビを見るなどしてくつろぐためのもの。
>制作物はどのように使われることを想定したものなのか
リビングやダイニングなどの大きめの部屋の、日のあたる場所でくつろいだりする想定で作った。後ろから光が差し込むと背もたれの隙間から光が漏れ、地面に綺麗な影を落とす。
>プロトタイピングフロー
ひとまず整った図面が完成した際、それをMDFの厚さに合わせ縮小し、プロトタイプを作った。そこで穴の大きさなどの間違いを直し、再度出力。組み合わせた際、接合部の摩擦がないと外れる部分などには支えや引掛けの追加をし、強度実験(上から手のひらで圧力をかける)で最初に折れた部分の強化などを行った。
>プロトタイプモデルの紹介
>プロトタイプからどのような発見を得て、どのような変更を試案したか
まず、はめ込みの凹と凸の寸法が違う部分を発見・修正した。次に背もたれの部分がもたれかかるほうと逆の方向にはてこの原理で簡単に外れてしまうことが判明。作用点にストッパーのような木材を差し込む。強度実験で最初に折れてしまった前脚は太さを増して、負荷に耐えるようにした。