制作者 設計者 : Takayo Ayata
撮影 : Ryo Asakura
This is a chair that has a space to store baggages, which also functions as the back of the chair.
Small things can be tuck from the front, and big baggages can be put from the back of the chair.Also, the back side has a certain amount of width so that you can put things on there too. When you sit sideways on the chair, the back side functions as an armrest. The tunnel part can be a bed for your pet who likes holes, or a play equipment for small children.This chair is a chair which can adapt to various scenes in life.
(1)受動的消費者から能動的生活者への変化
>なぜそれを欲したのか、作ろうと思ったのか
共同スペースにおける活動では、限られたスペースの中でいかに自分のスペースを確保し、また他人と譲り合いながらスペースを有効活用していくかが求められる。限られた椅子が荷物置きとして使われてしまい人が座る分の椅子が減ってしまうという状況を避けるために、荷物を置ける機能を持ちつつ、座面と荷物置きが自然に一体になった形状の椅子を目指した。
また、トンネルの様な形の椅子にすることでトンネルの中を子供やペットが通るなど 遊具の様な使い方も出来たら面白いと考えた。
>作ってみて新たに発見したことは何か
家具をデザインするとなった時、意識して気をつけなければならない点が多数存在する。
便利さを求めた機能面や、身体の形に沿った使い心地、見た目の善し悪し、大きさ、使用する材の量と無駄なく使うための設計、安全面、仕上げの丁寧さ、、それら全てを総合的に考えながらデザインを進めていく必要がある。そのためには試作を繰り返し、実物を手に取りながら試行錯誤しなければならない。また どうしてもミニチュアサイズの模型ではわからないこともあり、特に椅子の様な身体の形に沿うかどうかが重要となってくる家具の場合、経験の少ない者がデザインするときには実物大のものを実際に使用してみなければわからない部分もあり、そこが家具デザインの難しいところでもあり 非常に面白い部分でもあると感じた。
>次に作るなら何を作りたいと思ったか
制作物の大きさが大きくなればなるほど、工作機械の誤差や組み立ての際に生じる誤差もその分大きくなる。パーツの組み立てに細かな精度が要求されるような設計は出来る限り避けるべきかもしれない。
>次に作る際に気をつけようと思うことは何か
次に作るのであれば、今度は機能面よりも座り心地を重視した椅子を作りたい。身体の形に対してどのような形状であれば身体にフィットし、あるいはどのポイントを的確に支えていけば座り心地が良いと感じるのか、興味を持った。
(2)制作物のポートフォリオ
>デザインプロセス 制作物のコンセプトは
コンセプトは、荷物に煩わされない椅子。椅子の上と下で違う使い方ができ、コミュニティにとけ込める椅子。その椅子の中だけで、自分のスペースが完結する。
>何を成し遂げるために、とのような論理立てを持って実現しようとしたか
椅子と荷物置きが完全に独立した形状をしているのではなく、一つの形状の中に座面と荷物置きが存在する様にしたかった。また、荷物置きは地面には付かず、少し浮いた状態にしようと考えた。その結果、円の形を用いることによって見た目にも美しく、座面と荷物置きを自然に一つの椅子の中に存在させることが可能であると考えた。板材を使用して制作するため どうしても平面的なデザインになりがちだが、円筒をスライスし横に寝かせた様な形状にし、円状に切り出した板を重ね並べることによって丸みを帯びた立体的な形状にした。座面は緩やかなカーブで背もたれに繋がり、荷物置きの面は切れ目なく同じ角度で円弧を描いている。
>スケッチ、デザインプロセス
>ユースイメージ
小さい荷物は手前から、大きな荷物は背もたれの方からいれることが出来る。また背もたれには幅があるため、そこにも物を置いたり服を掛けることができる。椅子に対して横向きに腰掛けた場合、背もたれは肘掛けとしても機能する。トンネル部は穴を好むペットのベッドとして利用したり、小さな子供であれば中を通り抜ける遊具としても機能する。様々なシーンで生活やコミュニティに馴染む椅子を目指した。
>プロトタイプモデルの紹介
>プロトタイプからどのような発見を得て、どのような変更を試案したか
当初はシンプルな円柱に二本の脚が通してあるだけの形状をしていたが、背もたれの必要性と座り心地のためのリブの向きや強度の問題を克服するため更に頑丈な作りとトンネルの様な形状へと変化させた。また、材を無駄なく使用するために円のパーツを上下で分割できるよう変更していった。
当初リブの向きが縦に入っていたが座り心地を考えリブが横向きに入る様にし、支えの脚は左右に入る様にした。強度の問題に関しては、縦横に材を固定するための板を組み込み、かつ円筒形の形を邪魔しない位置に配置した。背もたれが加わったことにより円筒系だった形がトンネル型になり、見た目の印象も大きく変わっていった。
座面は荷物を置くための下の面では円の形をしており、座面では緩やかに平らになっている。