制作者 設計者 : Yoshihiro Asano
撮影 : Ryo Asakura
My chair,"Leg-Leg" evokes some kind of an animal. After you create basic structure with Grasshopper, you can change your chair’s backrest, feet and tails according to your own taste.
(1)受動的消費者から能動的生活者への変化
>なぜそれを欲したのか、作ろうと思ったのか
背もたれのある普通の椅子よりも、シンプルな形状の丸イスが好きだった。気軽に持ち運んで、好きな場所で座れるからだろう。自分で作る椅子なのだから、自分が座りたくなるような形状の物が良いと思った。
>作ってみて新たに発見したことは何か
実際に座れる物を作るという機能的な制約が、自ずとクオリティの向上につながっていたこと。工作機械によってモノを作ることは容易になったが、モノづくりが自分のためである以上、外的な制約が無いので妥協も簡単に出来てしまう。座れるという条件が、「とりあえず」という妥協を取り払い、完成度の向上に繋がったのだと思う。
>次に作るなら何を作りたいと思ったか
家具スケールの物が作れることが分かったので、自分の持つ本のサイズにあった本棚を作ってみたい。
>次に作る際に気を付けようと思うことは何か
素材の加工や仕上げ。他の受講生のヤスリがけや塗装への努力と、その結果を見て感心した。
(2)制作物のポートフォリオ
>デザインプロセス
「丸イス」をテーマに既存のもののコピーから始め、デジタル・ファブリケーションらしさを活かせる設計とは何か考えながらマイナーチェンジを繰り返した。プロトタイピングの中で得られた構造の一部からイメージがわき、最終的なデザインが完成した。
>制作物のコンセプトは?
「椅子の脚」と「動物の脚」。「椅子の隙間」と「動物の口」をオーバラップさせた、生き物らしさを感じられる椅子。
>何を成し遂げるために、とのような論理立てを持って実現しようとしたか
携帯電話やメモ帳などの私物をなくしがちなので、収納が一体化した構造が欲しかった。そこで座面の下にもう一枚層を設け、留め具や脚で貫いて固定することにした。
>その論理をどのように構造や意匠に昇華させたのか
収納のための隙間が生き物の口に見えるよう、全体の設計を改めた。
>スケッチ、デザインプロセス
>ユースイメージ
普段の生活の中で。とくに小さいこどもが好んで使う。
>制作物はどのように使われることを想定したものなのか
見た目に惹かれた人が利用していくうち、収納機能に気付き便利だと感じるようになる。その後、足や背もたれのパーツを自分好みの形状で切り出し、より愛着のある椅子として長く愛用されていく。
>プロトタイピングフロー
収納の実験 → 柱構造の実験1 → 柱構造の実験2 → 最終形
>プロトタイプモデルの紹介
>プロトタイプからどのような発見を得て、どのような変更を試案したか
2つ目のプロトタイプでは、4本しか骨を入れていなかったので簡単につぶれてしまった。骨の数を増やすとともに、反対方向に傾斜した骨を足すことで、強度は飛躍的に増大した。互い違いの向きで骨を渡せば強度が増すことが分かったので、完成品の脚の構造として採用することとした。前後にのびる脚の形から動物らしさのイメージが生まれ、最終的なコンセプトに強く影響することとなった。